追悼
12/10/2018

少なくともここ数年、私が一番足げく通った居酒屋のママが亡くなった。闘病生活の末に・・・。
私と同じ歳。長野市西鶴賀のおでん家「ひろびろ」の高橋ひろみさん

3年前、非常に辛い状況にあった私を常に元気づけてくれた恩人です。毎週月曜日か火曜日には、夕方5時開店とともに私は一番乗り、指定席でママとおしゃべりしながら飲むのが楽しみだった。12/8、私がバンド仲間と居酒屋ジャムを楽しんでいた頃逝った。そういえばジャムの二次会になったとたん、私は具合が悪くなって、全く飲めなかった。知らせてくれたんだと思う。
これからお別れの会だ。



おでんと女将の包容力でのどかにふける夜引き戸を開けると、カウンターの中の静かな笑顔に迎えられる。「おかえりなさい」と言われ、「ただいま、あのね…」と、思わず今日の出来事をうち明けてしまいそうな、そんな女将の高橋ひろみさんの人柄に惹かれるようにカウンター席にすっかり腰を落ち着ける。目の前には、1年を通じて毎日約20種ものおでん種がいい状態に・・・。店先の「おでん」の提灯は伊達ではないのだ。
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神奈川、鬼無里、戸隠と長年飲食店を営んできたひろみさんの思い出の中に、若い頃にかわいがってもらった”まっとうなおでん屋“がある。
そこで過ごした楽しいひとときを長野の町で再現したい、そんな思いを抱いてこの店を開いた。おそらくその思いが、この店の不思議な吸引力となっている。
そして今日もやっぱり、小さな店はにぎわっている。「ひろみさん、ビール」「お母さん、糸こんにゃくとはんぺん」。お客の声がにぎやかに重なり、ひろみさんは静かな笑みを絶やさずに、テキパキと注文に応じていく。誰もが心底くつろいで、酒と肴と”飲みニケーション“に興じている。

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仕事帰りに立ち寄る常連同士が、このカウンターで飲み仲間になり、毎月「日本酒の会」なるものが催される。高校の先生、美容師、建設会社社長、大手通信会社の美しいOL、そして私のような単なる酒飲み・・・
交わされる冗談の中に、時には深刻な話題が紛れ込んでも、この店の雰囲気に温かく包まれてしまう。そんな話にうなずきつつ、いつのまにか自分も話の輪に仲間入りしている。そんな店が無くなってしまった。
息子さんが後を継いで欲しい

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